事務所概要

事務所名
徳千代雅彦税理士事務所
所長名
徳千代 雅彦
所在地
〒267-0066
千葉県千葉市緑区あすみが丘7-26-6
電話番号080-3017-9308
業務内容
  • 相続税の申告業務
  • 贈与の事前対策
  • 事業承継対策
  • 経営計画策定支援
徳千代雅彦税理士事務所は
TKC全国会会員です
TKC全国会
TKC全国会は、租税正義の実現をめざし関与先企業の永続的繁栄に奉仕するわが国最大級の職業会計人集団です。

 千葉県税理士会 

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5. 相続税の対象並びに計算

5.1 相続税の対象

 被相続人の死亡によって相続財産は相続人に承継されますが、この財産とは、土地、家屋、現預金、株式等のプラスの財産(積極財産)だけでなく、借入金、未払金等のマイナスの財産(消極財産)も含まれます。相続税は、このプラスの財産とマイナスの財産の差引額に課税することとなります。
 また、被相続人の死亡に伴って葬式を行えば、この葬式費用も遺族が負担することとなるのが一般的です。この葬式費用も控除が認められています。

 相続財産の全部または一部が分割されていない状態であっても、相続分に従って財産を取得したものとして課税価格を計算し、申告期限までに申告書を提出し、相続税を納付する必要があります。

5.2 相続税の計算

5.2.1 各人の課税価格の計算

 まず、相続や遺贈及び相続時精算課税の適用を受ける贈与によって財産を取得した人ごとに、課税価格を次のように計算します。
        相続又は遺贈により取得した財産の価額
     +みなし相続等により取得した財産の価額
     -非課税財産の価額
     +相続時精算課税に係る贈与財産の価額
     -債務及び葬儀費用の額

     =①純資産価額(赤字のときは0)

          純資産価額

     +相続開始前3年以内の贈与財産の価額

     各人の課税価格(千円未満切捨て)     

5.2.2 相続税の総額の計算

   相続税の総額は、次のように計算します。

  イ  各人の課税価格を合計して、課税価格の合計額を計算します。
   各相続人の課税価格の合計 = ③課税価格の合計額

  ロ ③課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて、課税される遺産の総額を計算します。

        課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数)
        = 課税遺産総額
      

5.2.3 相続税の税率

 相続税の総額の計算に際しては、相続人等が遺産を実際にどのように分割したかに関係なく、上記により算出し課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したものとして、各人ごとの⑤取得金額を計算します。

 次に、その各人ごとの⑤取得金額にそれぞれ相続税の税率を掛けた金額を計算し、その各人ごとの金額を合計します。これらを合計した金額が相続税の総額となります。

 相続税の総額を、課税価額の合計額に占める②各人の課税価額の割合で按分して、各人ごとの相続税額を算出します。        

法定相続分に応ずる取得金額

税率

控除額

1,000万円以下

10%

       - 

3,000万円以下

15%

50万円

5,000万円以下

20%

200万円

1億円以下

30%

700万円

2億円以下

40%

1,700万円

3億円以下

45%

2,700万円

6億円以下

50%

4,200万円

6億円超

55%

7,200万円

5.3 小規模宅地等の特例

 事業又は居住の用に供されていた宅地等のうち最小限必要な部分については、被相続人等の生活基盤維持のため欠くことのできないものです。その処分についても、相当の制約を受けるわけですから、申告書に一定の書類を添付して申告することを要件に、一定部分については課税価格に算入する価額を減額することにしています。この特例の適用を受けられるのは、相続又は遺贈により取得した財産のうちに、被相続人等の居住の用もしくは事業の用に供されていた宅地等(特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び 貸付事業用宅地等に限る)がある場合で、これらの宅地等のうち個人が選択したもので限度面積要件を満たす部分です。

 申告期限までに分割されていない宅地等については、原則としてこの特例の適用を受けることができないことに注意する必要があります。ただし、相続税の申告期限までに分割されなかった宅地等が、この申告期限から3年以内に分割された場合には、その分割された宅地等については、特例の適用があります。


限度面積減額割合
特定居住用宅地等(自宅)被相続人が居住していた建物に同居していた親族がその宅地を相続し住み続ける場合

330㎡

△80%

特定事業用宅地等(個人商店)被相続人が事業の用に供していた宅地を親族が相続しその事業を引き継ぐ場合

400㎡

△80%

特定同族会社事業用宅地等(会社本社/工場/営業所)被相続人が発行済株式の50%超を有する法人に、事業の用として賃貸していた宅地をその親族が相続し、その法人の役員として事業を継続する場合

400㎡

△80%

貸付事業用宅地等(アパート/マンション)被相続人がアパート貸付をしている宅地を被相続人の親族が相続する場合

200㎡

△50%

5.4 配偶者の税額軽減

① 配偶者が遺産の維持形成に貢献したことに対して配慮する

② 相続人の死亡後の配偶者の老後の生活保障を図る

③ 配偶者が相続により財産を取得した時は同一世代間の財産の移転となり、子が相続により財産を取得した場合に比較して次の相続の開始が比較的早く、これに相続税が課税されることを考えると、1つの財産についての税負担が過重になってしまう結果となる

等の理由により、配偶者の税額が軽減されています。

 配偶者が取得した財産額が1億6千万円未満の場合には、1億6千万円相当額については相続税は課税されず、また、1憶6千万円以上の場合でも課税遺産総額に対する配偶者の法定相続分相当額以下であれば、相続税は課税しないとするものです。なお、この規定は申告書に一定の書類を添付して申告することが要件となります。

5.5 配偶者居住権

 相続税法の改正で、令和2年(2020年)4月1日から配偶者居住権が創設されています。亡くなった人の配偶者が自宅に住み続けられる権利で、主に夫を亡くした妻が安心して生活できるようにすることを目指しています。一定の手続き、一定の計算式の基に、配偶者居住権が設定された土地・建物について相続税、贈与税が免除されます。
 配偶者居住権は、配偶者の保護を目的とするため、配偶者本人が亡くなれば権利は消滅します。また、居住権の権利を主張するためには登記が必要となるため、司法書士に依頼する必要があります。

5.5.1 配偶者居住権(建物について)

配偶者居住権(建物のみ)

↑ あと何年使えるかという居住建物の残存耐用年数が短ければ短いほど、あと何年生きるかという配偶者の平均余命年数が長ければながいほど、配偶者以外の相続人が取得する建物所有権の評価額は小さくなります。     

5.5.2 配偶者居住権(土地について)

配偶者居住権(土地のみ)

↑  配偶者が高齢になるほど、土地所有者の評価額が大きくなり、配偶者居住権に基づく敷地利用権の評価額は

  小さくなります。          

5.6 未成年者控除

 親が死亡したときにおいて子が未成年者である場合があります。 この場合、一般に子には収入がなく、成人するまでの教育費や生活費は親の財産から賄うのが普通です。そこで、一定の要件を満たす未成年者については未成年者控除という税額控除が認められています。

 未成年者控除=100,000円×(20歳-その者の相続開始時の年齢(注1))
   (注1) 年齢は1年未満切捨て。
   (注2) 胎児である場合の未成年者控除額は2,000,000円となる。

5.7 障害者控除

  相続又は遺贈により財産を取得した者が障害者である場合には、被相続人死亡後の生活保障等を配慮し、障害者控除という税額控除が認められています。

一般障害者(身体障害者手帳で身体上の障害の程度が3級から6級)の場合
  障害者控除額=100,000円×(85歳-その者の相続開始時の年齢(注))

特別障害者(身体障害者手帳で身体上の障害の程度が1級から2級)の場合
    障害者控除額=200,000円×(85歳-その者の相続開始時の年齢(注))  

  (注)年齢は1年未満切捨て