遺言がない場合、遺産の権利状態は以下のとおりとなっていることに留意する必要があります。共有財産の持ち分の価額は、その財産の価額をその共有者の持分に応じて按分した価額によって評価されます。
被相続人死亡時の相続財産 | 権利状態 |
不動産 | 相続分の割合による共有 |
預貯金 | 相続分の割合による共有 |
株式 | 相続分の割合による準共有 |
債務 | 相続分の割合による当然分割 |
遺言がなく、相続人が数人いる場合には、相続人間の話し合いによって、互いの相続分を決定することとなります。その際の一つの目安となるのが、民法(900条)に定める法定相続分となります。
相続人 | 法定相続分 | 遺留分 |
配偶者のみ | 全て | 1/2 |
配偶者+子 | 配偶者 1/2 子 1/2(複数いる場合は按分) | 配偶者 1/4 子 1/4 |
配偶者+父母 | 配偶者 2/3 父母 1/3(複数いる場合は按分) | 配偶者 1/3 父母 1/6 |
配偶者+兄弟姉妹 | 配偶者 3/4 兄弟姉妹 1/4(複数いる場合は按分) | 配偶者 1/2 兄弟姉妹 なし |
子のみ | 全て(複数いる場合は按分) | 1/2 |
父母のみ | 全て(複数いる場合は按分) | 1/3 |
兄弟姉妹のみ | 全て(複数いる場合は按分) | なし |
遺産分割協議書を作成する大きな理由の一つは、後で揉めないようにするためです。遺産分割協議書は一種の「契約書」です。不動産の名義や預貯金の名義を被相続人から相続人に変える場合や、被相続人の預貯金を解約する場合等には、遺産分割協議書の提出を求められる場合が多くあります。また、相続税の申告の際に添付が求められる場合もあります。